左利きの融心さん

御先祖様を探し始めた若僧です

家系図作成記その④(失踪した祖父)

幸せな家庭を築いたM子は働く事が好きで、仕事をしながら子育てをしていました。もちろん、家政婦さんの様な方も居る家でしたので取りたって困る事はありませんでした。

そんなある日、T彦は「九州へ出張が入ったからバス停まで見送ってほしい。息子を抱いて2人で見送りに来てくれ。」と、M子に頼みました。この人は何を大袈裟な事を言ってるんだろうと笑いながらも、T彦がバスに乗る事自体が珍しいので見送りに行きました。T彦はバスの中から、姿が見えなくなるまで手を振り続けました。今生の別の如く、少し悲しそうな表情を浮かべて、M子とまだ幼い息子に手を振り続けました。

 

それっきりT彦はH家へ帰って来ませんでした。